Worse Is Better
UNIX方式には、「劣るほうが優れている」という逆説的な考え方が深く染みこんでいる。これまで多くの人が「UNIXはこれこれのシステムにとうてい及ばない」と言い続けてきた。「ユーザーインタフェースがひどい」とか、「UNIXは単純すぎて、まじめなオペレーティングシステムとは思えない」とか、その他の理由が挙げられてきた。UNIXがそれほど多くの点で、それほど多くのシステムより劣っているのなら、明らかに、「劣るもの」は「正しいもの」や「間違ったもの」より、生き残る可能性が高いことになる。 関連記事
和田卓人がWorse is Better について言及している Takuto Wada(@t_wada)
Worse Is Better に関する自分の解釈は「設計の正しさ/美しさと実装の単純さが対立する(両立できない)ときは、実装の単純さを選択した方が、たとえそれが漏れのある抽象になったとしても現実の問題を解決し、実装の単純さによって開発参加のハードルが下がり、進化的な強さを獲得できる」というもの
Stanford在学中に Worse is Better のオリジナルのエッセイを読まされたと語っている
もともとの「悪いほうが良い」エッセイの最初のバージョンは1989年に書かれた。その中では「良いデザイン」はMITやStanfordのスタイルとして言及されている。面白いことに僕はこのデザイン原則のエッセイをStanfordのコンピュータサイエンスの授業で読まされた。どうやらStanfordの授業もこの30年間ですっかり「悪い方向」に変わってしまったようだ。その授業で僕がクラスの掲示板に投稿した文章を多少修正の上で翻訳したのがこのエッセイである。
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